春日井の民話
たかくらさま
ばけけもん 高蔵寺に化け物を  
退治した高蔵さまという
強い御仁がいたそうな。





音声解説
はじめに

お話はじまりはじまり
音声解説
おわりに



これはよう、どえりゃぁ昔の話だけどなも、高蔵寺の山にほりゃまあ恐ぎゃぁ化けもんがすんどったげなわ。

 ほんでなも、その化けもんが、間なしに山から下りて来ては、娘や、米や、野さゃぁや・・・なんでもみーんな荷なって持ってってまうもんだでよう、わやだわ。

 ほんで村のもんが往生こぇぅてまって、「どうしよう」「やあ、どうしたらええ、・・・」ほう言うだけで、だあーれもよう向ってけせんで、だちゃかんわなも。

 しみゃぁには、村を通らっせる仁があるたんびに「助けてちょぉかやあ。」「なも、助けてちょぉだゃぁせんか、たのむに。」・・・ほんなこと言ったとて、だんれも聞いてくれせんわなも、化けもんが恐がゃぁで。

 ほのうちに、ええぐゃぁに高蔵さま言う、どえりゃぁ強え仁がござってなも、
「なんだあ化けもんぐりゃぁ、おれん、ころぇぅちゃるがや。」

ほう言やぁて、ずんずん、ずんずん、高蔵寺の山ん中に、はゃぁてかした。ほんで、ちいとなゃぁ経ったらなも、まっわり中、まっくらけになってまって、夕立っつぁまが、どえらけにゃぁ音でガラガラ・ピガー!化けもんの声がグワー!!・・・・・・みんな、ゾゾーっと、ぞぞげだってまって、声もよう出さんと、ふるえちょらゃぁしたげなわ。・・・ ほりゃほうだわなぁ。・・・

 そのうちに、こんどがゃぁし、山ん中、シーンとなってまった。「ええかおい?」「音が、なんにもしいせんがや。・・・」村のもんがみんな、ふるえながら案じちょったら、「おーい、化けもん、ころぇぅちゃったぞお。」・・・高蔵さまの声がして、どぇつもなゃぁ化けもんの生首、しょべつって出てござった。

 その血ぃだらけの、化けもんの顔の、まあ、恐がゃぁことと言ったら。・・・ちょこっと見ただけで、はゃぁ3日ぐらゃぁ、ふるえがとまれせんだげなわ。
よっぽどの事だなゃぁと、ほういうことは、なゃぁわなも。

 ほんだで、今でも村を助けてちょうだゃぁした、高蔵さまのことを、高蔵明神さまじゃ言って、だゃぁじに高蔵寺さまにお祀りしたるんだと。

春日井市市長公室広報広聴課発行 「かすがいの昔話」より

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